新しいお友達が増えると、なぜ園全体で風邪が流行るの?

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
入園・進級の時期に、お子さんが立て続けに風邪をひいて「うちの子だけ弱いのかな…」と心配される保護者の方が多くいらっしゃいます。じつはこれには、園の集団としての仕組みがあります。
風邪を起こすウイルスは、世の中にとてもたくさんの種類があります。子どもは一つひとつのウイルスにかかることで、少しずつそのウイルスへの「免疫(抵抗力)」をつけていきます。すでに何年か園に通っているお子さんは、よくある風邪ウイルスのいくつかには免疫ができていますが、はじめて集団生活に入る新入園児は、これからその経験を積んでいく段階です。
そうすると、園の中ではこんなことが起こります。
- 新入園児は、まだ免疫を持っていないウイルスがたくさんあるので、感染しやすい
- 感染した子は、しばらくのあいだ鼻水やせきにウイルスを出し続ける
- 園のなかに「ウイルスを出している子」がたくさんいる状態になる
- もともと通っていた子も、自分が経験していない種類のウイルスに新しく出会って感染する
- それがまた次のお友達にうつる……
このように、新入園児が多い時期は、園が一時的に"ウイルスのたまり場"のような状態になりやすく、結果として園全体で風邪が流行しやすくなります。新入園児が増えること自体が悪いのではなく、子どもたちみんなが免疫をつけていく過程で自然に起こる現象です。
これは数字でも裏づけられています
- 保育園に通い始めた1年目の子どもは、平均して 1年間に4.2回 の呼吸器感染症にかかりますが、2年目には 1.2回 まで減ります[1]。
- フィンランドで1,827人の子どもを追跡した研究[2]では、保育園に通い始める前の月の症状のある日数が 1か月あたり平均3.8日 だったのに対し、入園から 2か月後には10.6日にまで増加 し、その後ゆるやかに減って、 入園5か月後には家庭で過ごしている子と同じレベルに戻りました。 つまり、ピークはあくまで一時的なものです。
- デンマークの全国調査では、1歳未満で入園した子は、最初の6か月間、家庭で過ごしている同年齢の子に比べて、急性呼吸器感染症による入院が 約1.7倍 多くなります。ただし、入園から6か月を過ぎると減りはじめ、 12か月を超えると家庭で過ごしている子と同じ水準 に戻ります[1]。
- 保育園で起こる急性の下痢症も、家庭で過ごしている子の 2〜3倍 多いことが知られています[1]。
つまり、入園してしばらくの間にお子さんが何度も体調を崩すのは、ほとんどのお子さんが通る道です。決して体が弱いわけではなく、免疫をつけていく自然な過程で、 多くのお子さんは入園から数か月〜1年程度で罹りにくくなっていきますよ。
参考文献
- ^Collins JP, Shane AL (2018). "Infections Associated With Group Childcare (Chapter 3)". Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases (5th ed.), 25-32.e3. DOI
- ^Linnea Schuez-Havupalo, Laura Toivonen, Sinikka Karppinen, Anne Kaljonen, Ville Peltola. (2017). "Daycare attendance and respiratory tract infections: a prospective birth cohort study". BMJ Open, 7, e014635. DOI
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