高尿酸血症・痛風
別名: 痛風、高尿酸血症、gout、hyperuricemia

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)/痛風(つうふう)
この病気について
高尿酸血症とは、血液中の尿酸(にょうさん)の濃度が高い状態のことをいいます。健康診断などで測る血清尿酸値が 7.0mg/dL を超える 状態が続く場合に、高尿酸血症と判定されます。
尿酸値が高くても、ほとんどの方は症状がありません。約3分の2以上の方は、生涯にわたって痛風や腎臓の障害を起こさずに過ごします。一方で、高い状態が長く続くと、尿酸が結晶となって関節や腎臓に沈着し、痛風(つうふう) や 尿路結石(にょうろけっせき) を起こすことがあります。また、高血圧・慢性腎臓病・心臓や血管の病気・メタボリックシンドロームと合併しやすいことも知られています。
男性は思春期以降に尿酸値が上がり始め、30歳代以降に痛風が増えてきます。女性は閉経前は尿酸値が低めで、閉経後に男性と同じくらいになります。
主な症状
高尿酸血症そのものには、ほとんど自覚症状がありません。健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることがほとんどです。
尿酸値が長く高い状態が続くと、以下のような症状が出ることがあります。
- 痛風発作(つうふうほっさ) — 足の親指の付け根が赤く腫れて激しく痛むのが典型です。足の甲、足首、膝などにも起こります。強い発作のときは熱や寒気、だるさを伴うこともあります
- 痛風結節(つうふうけっせつ) — 長期間放置されると、耳・肘・足の指などに「こぶ」状のかたまりができることがあります
- 尿路結石による症状 — 強い側腹部の痛みが出ることがあります
痛風発作は深夜から朝方に始まることが多く、前日の飲酒・ごちそう・脱水・けが・手術などがきっかけになることがあります。突然の強い関節痛が出たら、お早めにご受診ください。
原因
尿酸値が上がる要因は、生活習慣・体質・併用薬などが組み合わさって決まります。主なものには次のようなものがあります。
- 食事 — 赤身肉、内臓肉、いわしなどの魚、貝類などに多いプリン体
- 果糖を多く含む飲料 — 清涼飲料水や果汁飲料
- アルコール — 量が多いほどリスクが高まり、特にビールや蒸留酒で関連が強いと報告されています
- 肥満
- 加齢、男性であること
- 腎機能の低下
- 薬の影響 — 一部の利尿薬、低用量アスピリン、高血圧の薬の一部などで尿酸値が上がることがあります。心当たりがあれば医師にご相談ください
- 遺伝的な体質 — 尿酸の処理のしやすさには体質の差があります
検査・診断
血液検査
血液検査で尿酸値を測ります。7.0mg/dL を超える 状態が続けば高尿酸血症です。1回だけの測定では決めず、別の日にもう一度測って確認 します。あわせて、腎臓の働き、肝機能、血糖、脂質、血算なども調べ、合併症や原因を評価します。
痛風発作の最中は、尿酸値が一時的に下がって正常範囲に見えることがあります。最も正確に評価できるのは、発作が完全に治まってから2週間以上経過した時期 です。
尿検査
尿たんぱくや尿潜血で腎臓の状態を確認します。必要に応じて尿中の尿酸の量を測ることもあります。
痛風が疑われたとき
症状・経過・尿酸値などから総合的に判断します。最も確実なのは、腫れている関節から少量の液を採取して結晶を確認する方法 ですが、疑われたすべての方で必要なわけではありません。判断に迷う場合や治りにくい場合では、専門医療機関で関節液検査や関節超音波などの検査を行うことがあります。
治療
治療は 生活習慣の改善 と、必要に応じた 薬物療法 が柱となります。
痛風発作のときの治療
発作が起きたら、まず炎症と痛みを抑える薬(消炎鎮痛薬、コルヒチン、ステロイドなど)で治療します。発作中に新たに尿酸を下げる薬を始めると発作が悪化することがある ため、すでに飲んでいる方はそのまま継続しますが、未服用の方は発作が治まってから2週間以上あけて開始します。
尿酸を下げる薬を使う場合
以下のような方が、長期的に尿酸を下げる薬を使う対象になります。
- 痛風発作を繰り返している方(一般に年2回以上)
- 痛風結節がある、関節が傷んでいる方
- 尿路結石を繰り返す方
- 抗がん剤治療を受ける方など、特別なリスクがある方
アロプリノールを始めて 最初の数か月以内 に発疹・発熱・粘膜のただれなどが出た場合、まれに重い副作用の前ぶれであることがあります。ただちに服用を中止して受診してください。
尿酸を下げる薬を始めた最初の数か月は、反動でかえって発作が起きやすくなります。これを防ぐため、別の薬(コルヒチンなど)を一時的に併用することがあります。
薬との関係
高血圧・糖尿病・脂質異常症などで内服している薬の中には、尿酸値に影響するものがあります。種類によって尿酸値を上げるもの・下げるものがあるため、お薬手帳を持参のうえ医師にご相談ください。
症状のない高尿酸血症の扱い
症状がなく、痛風結節も尿路結石もない方には、原則として薬物療法は行わない のが世界的な標準的考え方です。多くの方は生涯発作を起こさず、薬には副作用のリスクもあるためです。一方、日本では、高血圧などの合併症がある場合に薬物療法を考慮するという立場もあります。患者さんごとに利益と不利益をご説明したうえで方針を決めています。
日常生活での注意点
尿酸値の管理には、薬よりも先にまず 生活習慣の改善 が大切です。
食事
- プリン体の多い食品を控える — 赤身肉(特に内臓肉)、いわしなどの魚、貝類は控えめに。植物性のプリン体(豆類、ほうれん草など)は痛風のリスクとの関連は薄いとされています
- アルコールを減らす — 飲酒量が多いほど痛風発作のリスクが高まります。すでに痛風がある方では、種類を問わずどのお酒も発作を誘発し得ます。休肝日を設け ましょう
- 果糖入り飲料を避ける — 清涼飲料水・果汁飲料・スポーツ飲料に含まれる果糖は尿酸値を上げます。人工甘味料を使ったダイエット飲料はリスク上昇との関連は報告されていません
- 低脂肪の乳製品を取り入れる — 牛乳・ヨーグルトなどの低脂肪乳製品の摂取は、痛風発症リスクの低下と関連しています
- 十分な水分補給 — 1日2L以上の水分摂取は尿路結石の予防に役立ちます
運動と体重管理
- 減量 — 肥満のある方はゆっくり標準体重に近づけることを目標にします。急な絶食は逆に発作を誘発する ため避けてください
- 適度な運動 — 痛風発作そのものを直接予防するという根拠は限られていますが、合併する高血圧や肥満の管理に役立ちます。脱水も発作の引き金になるため、運動中・運動後の水分補給を忘れずに
痛風発作のきっかけになりやすい状況:宴会や暴飲暴食、急な脱水、激しい運動、けがや手術、薬の急な変更、入院など。心当たりがあるときは早めに水分をとり、安静にしましょう。
お子さまの場合
お子さまの高尿酸血症や痛風は、成人に比べてまれです。健康なお子さまの尿酸値はもともと低めで、結晶ができる濃度に達することが少ないためです。
ただし、思春期になると男児では尿酸値が徐々に上がってきます。お子さまや若い方で 著しく高い尿酸値 が見つかったときは、生まれつきの代謝の異常や血液の病気など、特別な原因がないかを調べる必要があります。家族歴(若くして痛風や腎障害がある方)や原因がはっきりしない高尿酸血症があれば、専門的な検査をお勧めします。
保護者の方へ:お子さまの「尿酸値が高い」だけで治療が必要になることは多くありません。気になる結果が出た場合はご相談ください。
よくあるご質問
Q. 尿酸値はいくつから「高い」と言えますか?
血清尿酸値が 7.0mg/dL を超える 状態が続くと高尿酸血症と判定します。8mg/dL を超えるようであれば、原因の評価と生活習慣の見直しを始めることをおすすめします。
Q. 尿酸値が高くても症状がなければ放っておいてよいですか?
無症状の方の多く(3分の2以上)は、生涯にわたって痛風や腎障害を起こしません。すぐにお薬が必要とは限りませんが、尿酸値が著しく高い、合併症がある、といった場合は薬物療法を検討します。生活習慣の改善はどなたにもおすすめできます。
Q. ビールはダメだと聞きますが、ほかのお酒なら大丈夫ですか?
新たに痛風になるリスクとしては、ビールや蒸留酒の関連が特に強い と報告されています。すでに痛風のある方では種類を問わず発作のリスクを上げます。種類で安心せず、量を控えることが基本 です。
Q. プリン体ゼロのビールなら飲んでよいですか?
プリン体の量だけがお酒のリスクを決めているわけではなく、アルコール自体が痛風のリスクを上げる要因として報告されています。お酒全般を控えることが基本です。
Q. 一度痛風発作を起こしたら、必ずお薬を一生飲み続けないといけませんか?
軽い発作が1回だけで、尿酸値もそれほど高くなく、生活習慣の改善で値が安定する方は、必ずしもすぐに薬を始める必要はありません。発作を繰り返す方や痛風結節がある方では、長期的に尿酸を下げる薬を続けること が再発予防に重要です。
Q. 痛風発作が起きたとき、どうすればよいですか?
患部を動かさず安静にして、できるだけ早く受診してください。発作中に新しく尿酸を下げる薬を始めると悪化することがあるため、すでに服用中の方は継続、未服用の方は発作が治まってから開始します。
当クリニックでの対応
高浜台内科小児科クリニックでは、高尿酸血症・痛風の診断から治療まで継続して対応しています。
- 血液検査・尿検査 を院内で行い、合併する高血圧・糖尿病・脂質異常症なども同時に評価します
- 食事・運動・節酒など、生活習慣の見直しを患者さんごとに具体的にご提案します
- 痛風発作の急性期治療、長期的な尿酸を下げる治療の導入と調整を行います
- 腎機能の低下や尿路結石を繰り返す場合は、泌尿器科や腎臓内科と連携します
健診で尿酸値の高さを指摘された方、足の親指などに突然強い痛みが出た方は、お早めにご相談ください。
この記事について
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。


