骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
別名: Osteoporosis、骨量減少症、脆弱骨病、低骨量

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
この病気について
骨粗鬆症とは、骨が弱くもろくなり、軽い転倒や日常の動作でも骨折しやすくなる病気 です。骨が薄くなり、骨の中の構造もまばらになることで、骨の強さが落ちてしまいます。
骨粗鬆症は 閉経後の女性と高齢の男性に多く 見られます。米国の調査では、50歳以上の女性のおよそ20%、男性のおよそ4%にあたる方が骨粗鬆症と診断されています。
骨粗鬆症のいちばんの特徴は、骨折が起きるまで自覚症状がないこと です。健康診断で骨密度の低下を指摘されたり、軽い転倒で骨折して初めて見つかることがほとんどです。骨折しやすい場所は 背骨(脊椎)、太もものつけね(股関節)、手首 で、特に背骨と太もものつけねの骨折は痛みや歩行困難の原因となり、生活の質を大きく下げてしまうことがあります。
主な症状
骨粗鬆症そのものには、ほとんど自覚症状がありません。骨折が起きて初めて症状が現れます。
- 背骨の圧迫骨折(あっぱくこっせつ) — 背中や腰の突然の強い痛みで気づくことが多いですが、軽い咳やくしゃみ、物を持ち上げた動作だけで起こることもあります。痛みは多くの場合4〜6週間で和らぎますが、長く続くこともあります
- 身長が縮む・背中が丸くなる — 背骨の圧迫骨折を繰り返すと身長が低くなり、背中が丸まって見えるようになります(円背・えんぱい)。1つの圧迫骨折でおよそ1cm身長が縮みます
- 太もものつけね(股関節)の骨折 — 転倒をきっかけに起こり、歩けなくなる、立ち上がれなくなるなど、生活への影響が大きい骨折です
- 手首の骨折 — 転んで手をついたときに起こりやすい骨折です
次のような場合はお早めにご相談ください:軽い転倒や日常動作で骨折したとき/身長が以前より縮んだとき/背中が丸くなってきたとき/健診で骨量の低下を指摘されたとき/長く続く背中や腰の痛みがあるとき。
原因
私たちの骨は、古い骨を壊す働きと新しい骨を作る働きが常に入れ替わっています。このバランスが崩れて、壊される量が作られる量を上回ると、骨が少しずつ薄くなっていきます。これが骨粗鬆症の基本的なしくみです。
特に 女性は閉経の前後で女性ホルモン(エストロゲン)が急に減るため、骨が急速に弱くなりやすい ことが知られています。男性でも加齢とともにゆっくりと骨が減っていきます。
骨粗鬆症になりやすくする主な要因には、次のようなものがあります。
- 高齢、女性であること
- 過去に骨折したことがある(特に背骨や太もものつけね)
- 親が太もものつけねの骨折を起こしたことがある
- やせ型・低体重
- 喫煙、過度の飲酒
- 転倒しやすい、足腰が弱っている
- ステロイド薬の長期使用、てんかんのお薬の一部、血液をさらさらにする薬(ヘパリン)、乳がんの治療薬の一部
- 関節リウマチ、甲状腺の働きが強い病気、副甲状腺の病気、消化管の病気(吸収不良)など
検査・診断
骨密度検査(DXA/デキサ)
骨密度を調べる標準的な検査が 骨密度検査(DXA/デキサ) です。専用の装置で 腰の骨と太もものつけねの骨 にごく弱いX線をあてて測定します。痛みはなく、放射線量はごくわずかです。
結果は Tスコア(同性の若い成人と比べた骨密度の差) で示されます。
| 判定 | Tスコア |
|---|---|
| 正常 | -1.0 より上 |
| 骨量減少(骨粗鬆症の前段階) | -1.0 〜 -2.5 |
| 骨粗鬆症 | -2.5 以下 |
背骨や太もものつけねの脆弱性骨折(軽い力で起こった骨折)があれば、骨密度の値に関わらず骨粗鬆症と診断します。
採血など
血液検査でカルシウム、ビタミンD、腎機能、必要に応じて副甲状腺ホルモンや甲状腺の働きを調べ、骨を弱くする他の病気がないかを確認します。背中の痛みや身長の低下があるときは、背骨のレントゲン検査を行うことがあります。
検査をおすすめする方
- 65歳以上の女性
- 65歳未満の閉経後の女性で、危険因子のある方
- 50歳以上の男性で、危険因子のある方
治療
骨粗鬆症の治療は 生活習慣の改善・カルシウムとビタミンDの十分な摂取・薬物療法 の3つを組み合わせて進めます。
お薬を始める方
- 背骨や太もものつけねなどに 脆弱性骨折の経験がある方
- 骨密度の Tスコアが -2.5 以下の方
- Tスコアが -2.5 までいかなくても、骨折リスクが高いと判断される方
第一選択は飲み薬
最初に選ぶことが多いのが アレンドロン酸 という飲み薬です。週1回または月1回の服用で、長く使われ、効果と安全性のデータが豊富です。
飲み方には決まりがあります。
- 朝起きてすぐ、コップ1杯(およそ240mL)の水で
- 服用後は 30分間は横にならず、食事や他の薬・飲み物をとらない
この飲み方を守ることで、薬がしっかり効き、食道の不快感などの副作用も減らせます。
その他のお薬
飲み薬が合わない方には、年1回の点滴の薬や、半年に1回の注射の薬 を選ぶこともあります。骨折のリスクが特に高い重症の方には、骨を作る働きを強める注射の薬 を一定期間使うこともあります。
副作用
ほとんどの方で大きな問題は起きませんが、飲み薬では胃のもたれや食道の不快感、点滴では最初のうち発熱や関節の痛みが出ることがあります。歯科治療と関連する顎の骨の問題や、太ももの骨の特殊な骨折はまれにあり、長く使う方では知っておく必要があります。
治療の見直し
飲み薬を5年、年1回の点滴を3年続けたあと、骨折リスクが下がっていれば一旦休薬する選択肢もあります。続けるか休むかは、骨密度や骨折歴をふまえて一緒に決めます。
日常生活での注意点
カルシウムとビタミンD
閉経後の骨粗鬆症の方では、1日にカルシウム1200mg、ビタミンD 800単位 を目安にとることが推奨されています(食事と、必要に応じたサプリメントの合計)。乳製品1食分(牛乳1杯、ヨーグルト1個、ハードチーズ30g程度)でおよそ300mgのカルシウムが摂れます。葉物野菜にも含まれます。ビタミンDはサーモンなどの魚や、日光を浴びることで作られます。サプリメントを使う場合は、1回500mgを超えるときは朝晩に分け、1日合計2000mgを超えないようにします。
運動・禁煙・節酒
週3回、30分以上の運動 がおすすめです。歩行、軽いジョギング、軽いジャンプ、筋力トレーニングなどが有効で、バランス・筋力をつける運動は転倒の予防にも役立ちます。喫煙は骨を弱め、お酒も1日2杯を超えると骨折リスクが上がります。転倒の予防
骨折の多くは転倒がきっかけです。床のラグやコード類を片付ける、廊下や階段を明るくする、凍った道や濡れた床を避ける、視力を定期的にチェックする、といった工夫が有効です。転倒の原因になりやすいお薬がある場合は医師にご相談ください。
骨を弱くする薬に注意
ステロイド薬、血液をさらさらにする薬(ヘパリン)、てんかんのお薬の一部、乳がんの治療薬の一部などは、長く使うと骨を弱くすることがあります。心当たりがある方は、お薬手帳を持参のうえご相談ください。
お子さまの場合
健康なお子さまの骨粗鬆症は まれ です。多くの場合、長期にわたるステロイド治療、栄養不良、ホルモンの異常、生まれつきの骨の病気(骨形成不全症など)といった特別な背景があるときに見られます。
思春期は 生涯のうちで骨量がもっとも増える大切な時期 です。バランスのよい食事と十分なカルシウム、適度な運動が、将来の骨を守る基礎になります。
保護者の方へ:お子さまが軽い力で繰り返し骨折する、家族に若くして骨折を繰り返す方がいる、長期にステロイド治療を受けているといった場合は、専門の医療機関での評価が必要なことがあります。気になるときはご相談ください。
よくあるご質問
Q. 骨粗鬆症は痛い病気ですか?
骨粗鬆症そのものに痛みはありません。痛みが出るのは骨折が起こったとき です。健診や骨密度検査で骨粗鬆症を早めに見つけて治療を始めることで、痛みを伴う骨折を防ぐことが大切です。
Q. 何歳から骨密度検査を受ければよいですか?
女性は65歳以上で一度、検査をおすすめします。65歳未満の閉経後の方や、50歳以上の男性でも、骨折歴・家族歴・低体重・喫煙・ステロイド薬など危険因子のある方は早めの検査をおすすめします。Q. 牛乳が苦手です。カルシウムは何でとればよいですか?
牛乳以外でも、ヨーグルト、チーズ、葉物野菜(ケール、ブロッコリーなど)からカルシウムをとることができます。食事だけで十分にとるのが難しい方には、カルシウムサプリメントの利用も選択肢です。サプリメントは1回500mg以下に分けて飲むこと、合計で1日2000mgを超えないことを目安にします。
Q. 骨粗鬆症の飲み薬はずっと飲み続けないといけませんか?
飲み薬では5年、年1回の点滴では3年 を一区切りに、効果と必要性を見直します。骨密度が安定し骨折リスクが下がっていれば、いったん休薬することもあります。続けるか休むかは、骨密度や骨折歴をふまえて一緒に決めます。Q. 男性も骨粗鬆症になりますか?
はい、なります。女性ほど多くはありませんが、米国では50歳以上男性の約4%に骨粗鬆症が見られます。男性では 長期のステロイド使用、男性ホルモンの低下、過度の飲酒、関節リウマチや消化管の病気 などが背景にあることが多く、骨折歴や危険因子のある50歳以上の男性は検査をおすすめします。
当クリニックでの対応
高浜台内科小児科クリニックでは、骨粗鬆症の評価から治療まで継続して対応しています。
- 採血による全身の評価(カルシウム、ビタミンD、腎機能、必要な内分泌の検査など)を院内で行います
- 食事・運動・転倒予防など、生活習慣の見直しを患者さんごとにご提案します
- 飲み薬をはじめとする骨粗鬆症の薬物療法の導入と経過観察を行います
- 骨密度検査(DXA) や、骨折治療・手術が必要な場合は、連携病院へご紹介します
健診で骨量の低下を指摘された方、軽い転倒で骨折した方、身長が以前より縮んだと感じる方は、お早めにご相談ください。
い。
この記事について
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。


