アレルギー性鼻炎・花粉症
別名: 季節性アレルギー性鼻炎、Seasonal allergic rhinitis、花粉アレルギー、ポーレン症

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
アレルギー性鼻炎・花粉症(かふんしょう)
この病気について
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)は、空気中に飛んでいる花粉などのアレルゲンに対して、体が過敏に反応して起こる鼻のアレルギー疾患です。木、草、雑草の花粉が代表的な原因で、特定の季節に症状が強くなり、毎年同じ時期に繰り返すのが特徴です。日本ではスギの花粉が代表的な原因のひとつです。
子どもや大人の 10〜30% がアレルギー性鼻炎をもつとされ、小児では最大40%という報告もあります。鼻だけでなく目のかゆみや涙、のど・耳のかゆみ、倦怠感、集中力の低下を伴うことが多く、睡眠や日常生活、お子さまでは学業にも影響することがあります。
子どもの時期は男児に多く、思春期以降は女性に多くなる傾向があります。学童期と20歳前後にかけて多くなることが知られています。
主な症状
代表的な症状は次の4つです。
- 発作的な くしゃみ
- 水のようにさらさらした 鼻水
- 鼻づまり
- 鼻の かゆみ
このほか、後ろに鼻水が流れ落ちる感じ、咳、のど・耳の奥のかゆみ、上あごのかゆみがみられることもあります。目のかゆみ・涙・充血 など、結膜炎の症状を伴う方が多く、季節性の花粉症では約70%に合併します。
慢性的な鼻づまりが続くと、睡眠の質が落ちる、日中に強い疲労感が出る、集中力が落ちる、いらいらしやすくなるといった影響が出ることがあります。お子さまでは、花粉が多い時期に試験の成績が落ちることも報告されています。
鼻水・くしゃみ・目のかゆみが毎年同じ時期に強く出る方や、市販薬では十分に楽にならない方、日常生活に支障がある方は、お早めにご相談ください。
原因
花粉症は、本来は無害な花粉に対して体の免疫が過敏に反応してしまうことで起こります。花粉を吸い込むと、それに反応する IgE抗体 という物質ができ、鼻の粘膜にあるマスト細胞という細胞に結合します。次に同じ花粉が入ってきたときにこの細胞からヒスタミンなどが放出され、くしゃみ・鼻水・かゆみ・鼻づまりを引き起こします。
季節性の花粉症の主な原因は、地域や季節によって異なります。
- 春:木の花粉(日本ではスギが代表)
- 夏:草(イネ科など)の花粉
- 秋:雑草の花粉
なりやすさには、ご本人やご家族の アレルギー体質、屋内のダニ・カビなどへのふだんの曝露、男児であること(小児期)、生後早期に抗生物質を頻回に使ったこと、お母さまの喫煙曝露などが関係するとされています。同じアレルゲンに繰り返しさらされていると、より少ない量の花粉でも症状が出るようになる傾向があります。
検査・診断
毎年同じ時期に同じ症状が繰り返し出る場合、問診と診察だけで診断できる ことが多くあります。鼻の中を観察すると、粘膜が腫れて青白くなっているなどの所見がみられます。
原因の花粉や他のアレルゲンを特定したいとき、症状が典型的でないとき、または治療効果が不十分なときには以下の検査を行います。
- 血液検査 — 特定のアレルゲンに対するIgE抗体の量を調べます。当クリニックで実施できます
- 皮膚プリックテスト — アレルゲンの薄い液を皮膚にのせて反応をみる検査で、専門医療機関で行います
初診の段階で必ず検査が必要なわけではありません。症状の出方と時期から十分診断できるためです。検査は、原因をはっきりさせて生活上の対策を立てたい方や、舌下免疫療法を検討する方で特に役立ちます。
治療
治療は アレルゲン回避、鼻洗浄、薬物療法 の3本柱で、組み合わせて進めます。
生理食塩水での 鼻洗浄 は、症状の有無や強さにかかわらずどなたにもおすすめできます。鼻の中の花粉と粘液を洗い流す効果があります。点鼻薬を使う方は、薬の前に鼻洗浄をすると薬の効きが良くなります。
薬物療法の第一選択は ステロイド点鼻薬(炎症をしずめる点鼻スプレー) です。アレルギー性鼻炎に対して 単剤で最も効果が高いお薬で、特に鼻づまりへの効果が優れています。効果は数時間で出始めますが、十分な効果には数日〜数週かかります。
季節性の方では、症状が出はじめる1週間以上前(できればもっと早く)から定期的に開始 すると最も効果的です。早めの予防的開始がポイントです。
このほか、眠気の少ない経口の抗ヒスタミン薬、抗ヒスタミン薬の点鼻薬、ステロイドと抗ヒスタミンの配合点鼻薬などを症状に応じて選びます。経口の抗ヒスタミン薬は、かゆみ・くしゃみ・鼻水には効きますが、鼻づまりへの効果はステロイド点鼻ほど強くありません。
市販の血管収縮薬の点鼻スプレー(鼻づまりがすぐ取れるタイプ)を 数日以上連用するとかえって鼻づまりが悪化する ことがあります。長期治療には向きません。
原因アレルゲンを毎日少量ずつとり続けて体の反応を弱めていく 舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう) という選択肢もあります。日本ではスギ花粉症用の舌下錠(5〜64歳が対象)が使えます。シーズンの3〜4か月前に開始し、効果の定着のため3年間の継続が推奨されています。標準的な薬物療法で改善が乏しい方、副鼻腔炎や中耳炎を繰り返す方、中等症〜重症のお子さま、舌下免疫療法をご希望の方は、専門医療機関への紹介をご提案することがあります。
日常生活での注意点
花粉が飛ぶ時期は、できるだけ花粉を体に取り込まない工夫が役立ちます。
- 飛散の多い日は 窓を閉め、エアコンで室内の空気を循環させる
- 外出時は マスク を活用する
- 帰宅時に 上着の花粉を払い、洗顔・うがい をする
- 就寝前に シャワー を浴び、髪や肌についた花粉を落とす
- 1日1回〜数回の 生理食塩水での鼻洗浄
- 花粉飛散情報を確認し、飛散の多い日は外出を控えめにする
なお、市販の血管収縮薬の点鼻スプレーは即効性があり頼りたくなりますが、数日以上連用すると逆に鼻づまりが慢性化する ことがあります。連用は避け、必要なときだけ短期間に留めてください。
妊娠中の方へ:まず鼻洗浄やアレルゲン回避を中心に行います。お薬が必要な場合も、安全性が確認されているお薬を選んで処方します。自己判断で内服を続けず、ご相談ください。
お子さまの場合
お子さまの花粉症は、花粉に 2シーズン以上さらされてから 発症することが多く、2歳未満ではまれです。学童期から思春期にかけて多くなります。
お子さまは自分で症状をうまく言葉にできないことがあり、次のようなしぐさで気づかれることがあります。
- 鼻をかまずに すすったり、鼻を上にこすり上げる
- くしゃみや咳払いを繰り返す
- 鼻づまりで 口呼吸・いびき が増える、夜よく眠れない
花粉症は 喘息・中耳炎・副鼻腔炎 との関連も知られており、これらの症状にもご注意ください。集中力の低下や、花粉シーズン中の試験成績への影響も報告されています。
治療の基本は大人と同じですが、年齢によって使える薬が異なります。5歳以上で中等症〜重症 のお子さまでは、舌下免疫療法を含めた専門的な治療をご検討いただけます。長期的に喘息の発症リスクを下げる効果も報告されています。
よくあるご質問
Q. 花粉症と風邪の見分け方を教えてください。
毎年同じ時期に くしゃみ・水のような鼻水・鼻のかゆみ・目のかゆみ が繰り返し出るのが花粉症の典型です。風邪では、のどの痛みや発熱、黄色〜緑色の鼻水、咳が前面に出ることが多く、長くは続きません。鼻のかゆみや目のかゆみは花粉症を強く疑う手がかりです。
Q. お薬はいつから始めればいいですか?
花粉症の方は、症状が出はじめる1週間以上前(できればもっと早く)から定期的に薬を始める と最も効果的です。例年つらい時期がはっきりしている方は、その時期の少し前にご来院いただくと、シーズン中の症状を軽くしやすくなります。
Q. 市販の点鼻スプレーをずっと使っても大丈夫ですか?
「鼻づまりがすぐ取れる」タイプの市販の点鼻スプレー(血管収縮薬)は、数日以上連用すると、かえって鼻づまりが悪化 することがあります。一時的な使用にとどめ、長く症状が続く方はステロイド点鼻薬など別のお薬を検討します。
Q. 妊娠中なのですが、お薬は使えますか?
お薬が必要な場合は、これまで多くの妊娠中の方に使われてきて安全性が比較的確認されているお薬を選びます。それと並行して、生理食塩水による鼻洗浄やアレルゲン回避をおすすめします。治療は自己判断されずに、ご相談ください。
Q. 一度発症すると、毎年続くのでしょうか?
季節性の花粉症は、毎年同じ時期に繰り返すことが多いですが、症状の強さは年によって変動します。生活上の工夫や治療で症状を十分に抑えることができますし、舌下免疫療法によって体質そのものを変えていく治療も選択肢になります。
当クリニックでの対応
高浜台内科小児科クリニックでは、花粉症の診断から治療まで継続して対応しています。
- 問診・診察・血液検査 を行い、症状と原因のアレルゲンを確認します
- ステロイド点鼻薬や抗ヒスタミン薬を中心に、お一人おひとりの症状に合わせた薬物療法をご提案します
- 舌下免疫療法もおこなうことができますのでご相談ください
- 鼻洗浄や生活上の工夫について具体的にお伝えします
- 結膜炎・喘息・副鼻腔炎・中耳炎などの合併症がある方には、あわせて治療を行います
毎年つらい花粉症でお困りの方、お子さまの花粉症が気になる方は、シーズンの少し前にもお気軽にご相談ください。
この記事について
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。


