子どもの発熱と解熱剤|いつ使う?何度下がる?

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
使っても熱が下がらない?
発熱でお子さんやご自身がつらいとき、解熱剤を使ったのに思ったほど下がらない、しばらくするとまた上がってきた——そんなご経験はないでしょうか。「効いていないのでは」「病気が悪いのでは」と不安になる方は少なくありません。
先に結論をお伝えすると、解熱剤とはそういう薬だと思っていただいて大丈夫です。本記事では、解熱剤が体の中で実際に何をしているのか、そして「いつ・どう使うか」をわかりやすく整理します。
解熱剤の役割は「つらさをやわらげる」こと
まず大切な前提です。解熱剤は、熱の原因となっている病気(かぜのウイルスや細菌など)を退治する薬ではありません。あくまで、熱や痛みによるつらさを一時的にやわらげる「お助け役」です。
熱が出ているのは、体が病原体と戦っている最中のサインでもあります。これまでの研究では、解熱剤を使っても使わなくても、病気そのものが治るまでの時間はほとんど変わらないことがわかっています[1][2]。つまり解熱剤は、「治りを早める薬」ではなく、「闘っている間のつらさを軽くして、休んだり、水分や食事をとったりしやすくする薬」なのです。
解熱剤を使うと、どのくらい下がる?
おおよその目安は次のとおりです(お子さんで主に使うアセトアミノフェンなどの場合)[1]。
- 効き始め:使ってから30分〜1時間ほど[5][6]
- しっかり下がるタイミング:1〜3時間後あたり[3]
- 下がった状態が続く時間:2時間ほど(その後また上がってくることが多いです)[7]
- 下がり幅:だいたい1℃前後[4]
ここで知っておいていただきたいのは、解熱剤で平熱(36℃台)まで下がるとは限らない、ということです。たとえば39℃の熱が38℃前後になる、というくらいの変化が一般的です。「37〜38℃台までしか下がらなかった」「数時間でまた上がった」——これは薬が効いていないのではなく、解熱剤の効き方としてごく自然なことです。
「効かない」と感じても、心配しなくてよい理由
熱の高さと病気の重さは、必ずしも比例しません。40℃でもケロッとしているお子さんもいれば、38℃でぐったりすることもあります。大切なのは温度計の数字そのものよりも、本人がどれだけつらそうか・水分がとれているか・眠れているかです。
ですので、
- 熱を「平熱まで下げること」を目標にしない
- 「○℃になったら必ず使う」と数字だけで判断しない
- 下がりきらなくても、またすぐ上がってきても、それ自体は問題ではない
と考えていただいて大丈夫です。
いつ使えばいいですか?
おすすめの考え方はとてもシンプルです。本人がつらそうなときに使う、です。たとえば、
- 熱や体の痛みで眠れない・機嫌が悪い
- だるくて水分や食事がとれない
- ぐったりして休めない
といったときに、つらさをやわらげて「眠る・飲む・食べる」を助ける目的で使ってください。
逆に、熱はあっても本人が比較的元気で、遊べていて、水分もとれているようなら、無理に使う必要はありません。使わずに様子をみても構いません。
なお解熱剤は、決められた量を守り、一定の時間(通常は数時間以上)をあけて使ってください。お子さんでは基本的にアセトアミノフェンを用います。ご家庭の判断で大人用の薬を子どもに使うことは避けてください。
安全のために:こんなときは受診を
解熱剤はつらさをやわらげる薬であって、受診すべきかどうかの判断を変えるものではありません。次のような場合は、熱の高さにかかわらず受診をご検討ください(特にお子さん)。
- ぐったりして反応が鈍い、視線が合わない、顔色や様子がいつもと明らかに違う
- 水分がとれず、半日以上おしっこが出ていない
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼーする
- けいれんがあった、または止まらない
- 生後3か月未満の発熱
- 強い頭痛、繰り返す嘔吐、首が硬い、発疹が出てきた
- 熱が長引く、いったん下がってまた上がるなど、経過が気になる
まとめ
- 解熱剤は病気を治す薬ではなく、つらさをやわらげる薬です
- 平熱まで下がらなくても、またすぐ上がってきても、それは自然なことです
- 温度計の数字ではなく、「本人がつらいかどうか」で使うか決めましょう
- つらいときは我慢せず使ってあげてください。元気そうならお休みしても大丈夫です
- ただし、ぐったり・水分がとれない・呼吸が苦しいなどの危険なサインは、熱の高さに関係なく受診を
参考文献
- ^Meremikwu MM, Oyo-Ita A. (2002). "Paracetamol for treating fever in children.". Cochrane Database Syst Rev. , (2), CD003676. DOI
- ^Kramer MS, Naimark LE, Roberts-Bräuer R, McDougall A, Leduc DG. (1991). "Risks and benefits of paracetamol antipyresis in young children with fever of presumed viral origin.". Lancet, 337, 591–594.
- ^Walson PD, Galletta G, Braden NJ, Alexander L. (1989). "Ibuprofen, acetaminophen, and placebo treatment of febrile children.". Clin Pharmacol Ther, 46(1), 9–17.
- ^Kauffman RE, Sawyer LA, Scheinbaum ML. (1992). "Antipyretic efficacy of ibuprofen vs acetaminophen.". Am J Dis Child., 146(5), 622–625.
- ^Aksoylar S, Akşit S, Cağlayan S, Yaprak I, Bakiler R, Cetin F. (1997). "Evaluation of sponging and antipyretic medication to reduce body temperature in febrile children. ". Acta Paediatr Jpn., 39(2), 215–217.
- ^Steele RW, Tanaka PT, Lara RP, Bass JW. (1970). "Evaluation of sponging and of oral antipyretic therapy to reduce fever.". J Pediatr., 77(5), 824–829.
- ^Kinmonth AL, Fulton Y, Campbell MJ. (1992). "Management of feverish children at home.". BMJ, 305, 1134–1136.
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