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りんごやモモで口がかゆくなる——その正体は「花粉」かもしれません

豊田 弘邦

この記事の監修医師

豊田 弘邦

日本内科学会認定総合内科専門医

📖 読了時間: 約4

りんごやモモを食べると口の中がかゆくなる

春先、りんごやモモ、サクランボをひと口食べたら、口の中や唇、のどがイガイガ・ピリピリ……。「何かのアレルギーかな?」と心配になって、つい「どの果物がダメなのか、ぜんぶ検査で調べてほしい」と思う方は少なくありません。
でも実は、この症状の多くは「果物そのもののアレルギー」ではなく、花粉症と深くつながっています。そして、果物を一つひとつ検査でつぶしていく必要は、ほとんどないのです。今日はその理由を、できるだけわかりやすくお話しします。

その症状、「口腔アレルギー症候群」かもしれません

果物や生野菜を食べた直後に、口・唇・のどの奥がかゆくなったり、ピリピリ・腫れぼったく感じたりする——これは 口腔アレルギー症候群(OAS)、最近は 花粉-食物アレルギー症候群(PFAS) とも呼ばれます。
特徴は、

症状が口やのどの「入り口」あたりに限られることが多い
食べてすぐ(数分以内)に出る
もともと花粉症を持っている人に多い

といった点です。

なぜ「花粉」と「果物」がつながるの?

カギは、花粉と果物に含まれるタンパク質が「そっくりさん」 だということです。
たとえば、シラカバなどカバノキ科の花粉に含まれるタンパク質と、りんご・モモ・サクランボ・キウイなどに含まれるタンパク質は、形がとてもよく似ています。花粉症で体が花粉のタンパク質を「敵」として覚えてしまうと、よく似た果物のタンパク質を食べたときに、体が「また花粉が来た!」と勘違いして反応してしまう——これが 交差反応 と呼ばれるしくみです。
つまり、りんごにもモモにもサクランボにも反応するのは、それぞれ別々のアレルギーがあるからではなく、「同じ花粉のそっくりさん」にまとめて反応しているからなのです。
だから「果物を一つずつ検査」はあまり役に立ちません
ここが今日いちばんお伝えしたいところです。理由は大きく3つあります。

  1. 結局は「同じ答え」しか出ない

りんご・モモ・サクランボ……と個別に調べても、その正体は「花粉に似たタンパクへの反応」という同じもの。何種類並べても、新しくわかることはほとんど増えません。

  1. 果物の検査は「外れ」が多い

この原因タンパクはとてもこわれやすく、検査に使う試薬の中でも壊れてしまいがちです。そのため 「症状はあるのに検査では陰性」 ということが珍しくありません。陰性だからといって安心はできず、検査結果だけで判断できないのです。

  1. 診断は、多くがお話だけでつく

「生のりんごで口がかゆくなる」「花粉症がある」「加熱したら平気だった」——こうしたエピソードが揃えば、検査をたくさん重ねなくても見当はつきます。

調べるなら「花粉のほう」が理にかなっています

もし検査をする意味があるとすれば、果物を何種類も並べるより、「どの花粉に反応しているか」を確認するほうが役立ちます。
さらに進んだ検査(コンポーネント検査)では、「口の中だけで軽くすむタイプ」なのか、「まれに全身の症状を起こしうる、注意が必要なタイプ」なのかを見分ける手がかりが得られることもあります。果物の抽出物を10種類調べても、この大事な区別はつきません。

おうちでできる工夫

生でかゆくなる果物も、加熱・加工すると食べられることが多いです(原因タンパクが熱に弱いため)。ジャム、缶詰、焼き菓子、加熱調理などは比較的食べやすくなります。
花粉症のシーズンに症状が強くなることがあります。
多くは口やのどの軽い症状で、しばらくすると落ち着きます。

こんなときは受診をご検討ください

ほとんどは軽い症状ですが、次のようなサインがあるときは、別のタイプの食物アレルギーが隠れていることもあります。医療機関にご相談ください。

唇やのどの腫れが強い、のどがしめつけられる感じがする
じんましんが全身に出る
息苦しさ、ゼーゼー、声がかすれる
吐き気・腹痛・気が遠くなる感じ

これらの全身症状は、緊急の対応が必要になることがあります。

おわりに

「果物で口がかゆい」は、決して珍しいことではありません。多くは花粉症と関係した軽いタイプで、やみくもにたくさんの検査を受けるより、症状の出かたや花粉症との関係を整理することのほうが、ずっと役に立ちます。
気になる症状や、食べてよいか不安な果物がある方は、診察の際にお気軽にご相談ください。

📋 この記事について

この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。

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