みずぼうそうと帯状疱疹は"同じウイルス"——なのに、どうして見た目が違うの?

この記事の監修医師
豊田 弘邦
日本内科学会認定総合内科専門医
みずぼうそうと帯状疱疹は同じウイルス。なのに見た目が違うのはなぜ?
子どものころにかかる「みずぼうそう(水痘)」と、大人になってから出ることのある「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」。
実はこの2つ、まったく同じウイルスが起こしています。
でも、見た目はずいぶん違いますよね。
みずぼうそうは、全身にポツポツと広がる
帯状疱疹は、体の片側の一部分にだけ、帯のように出る
同じウイルスなのに、どうしてこんなに違うのでしょう?
カギは、ウイルスが皮膚に 「どうやって届くか」 にあります。
ウイルスの"配達ルート"は2つある
ウイルスが皮膚の表面に出てくるとき、通り道(配達ルート)が2種類あります。
① 血液に乗って、全身に配達されるルート
ウイルスが血液の流れに乗ると、宅配便が街じゅうに荷物を配るように、体じゅうのあちこちにばらまかれます。
→ だから、ポツポツが 全身に広がる = みずぼうそう
② 1本の神経を通って、一区画だけに配達されるルート
一度みずぼうそうが治っても、ウイルスは消えてしまうわけではありません。神経のつけ根に じっと潜んで眠っています。
これが何年も、ときには何十年も経ってから目を覚ますと、1本の神経を伝って、その神経が担当する皮膚の一区画だけに出てきます。
→ だから、体の片側の一帯にだけ出る = 帯状疱疹
つまり、「全身に散らばる」のか「一区画に集まる」のかは、配達ルートの違いだったのです。
「ワクチンを打ったのに、みずぼうそうになった」のはなぜ?
ときどき、「予防接種をしたのに軽くかかった」というお話を聞きます。
これも、配達ルートで説明がつきます。
ワクチンでつけた免疫は、ウイルスが入ってきたときに 血液に乗る量をぐっと減らして くれます。でも、ゼロにできないこともあります。
このとき、通り道は①の「血液ルート」のまま。だから、もし症状が出るとしても 全身型(みずぼうそう型) になります。
ただし、配達される量が少ないので、ポツポツの数が少なく、とても軽くすむのが特徴です。
ワクチンは「絶対にかからない」ためのものではなく、かかっても軽くすませるための、頼れる備えなんですね。
帯状疱疹が「片側の一部分」に出るワケ
帯状疱疹が体の片側だけ、しかも帯のように一帯に出るのは、②の神経ルート専用だからです。
眠っていたウイルスが、神経という"レール"を通って、その神経の担当エリアにだけ降りてくる——だから、きれいに区画が分かれて出るのです。
新しく外から入ってきたウイルスは、この神経のレールを通りません。ですから、外からの感染では(何回目であっても)この「片側の一区画だけ」というかたちにはならない、というわけです。
ちょっと例外のお話
帯状疱疹が 同時に2か所以上 に出たり、何度かくり返したり することもあります。これは「眠っていた発射台が複数あった」だけで、基本はやはり②の神経ルート。一区画ずつ出たものが集まった、とイメージすると分かりやすいです。
また、まれに、体力や免疫の力が落ちているときには、帯状疱疹なのに全身にも広がることがあります。このときは、①の血液ルートも混ざっている状態です。気になる症状が広がるときは、早めにご相談ください。
まとめ
みずぼうそうと帯状疱疹は、同じウイルス
見た目の違いは、ウイルスの 「配達ルート」 の違い
血液に乗る → 全身に広がる(みずぼうそう)
神経を伝う → 一区画に集まる(帯状疱疹)
ワクチンは、ウイルスが 血液に乗る量を減らして、軽くすませる助けになる
「同じウイルスが、届き方しだいで姿を変える」——そう考えると、ちょっと面白いですよね。
気になることや心配な症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。


