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麻疹(はしか)のワクチンと抗体検査、誰に必要?

予防接種コラム ・ 高浜台内科小児科クリニック

麻疹(はしか)のワクチンと抗体検査、
誰に必要?

「自分は免疫があるのかな」「抗体検査を受けたほうがいい?」——迷ったときの考え方を、やさしく整理しました。

🗓 最終更新:2026年6月 👶 内科・小児科 共通の話題 ⏱ 読了の目安:約6分
最初にすべきことは、とてもシンプルです。母子健康手帳を開いて、1歳以降にMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を2回接種した記録があるかを確認すること。多くの方は、この記録さえ確認できれば、それ以上の検査も接種も必要ありません。

はじめに

いま、麻疹が国内で増えています

2020〜2022年にはほとんど見られなかった麻疹が、2025年以降、日本国内で再び増えています。海外で感染して帰国された方をきっかけに広がるケースが目立ちます。

麻疹は空気感染し、感染力がとても強い病気です。一方で、ワクチンでしっかり防げる病気でもあります。だからこそ今は、ご自身とご家族の接種状況を確認しておくよい機会です。「うつる前に、確認しておく」——それがいちばんの備えになります。


適応 ①

ワクチンを打ったほうがよい人

次のいずれかにあてはまり、1歳以降に2回の接種記録がない場合は、接種を検討しましょう。

無料お子さん(定期接種)

1歳以上で1回目小学校入学前の1年間(年長)で2回目。どちらも公費で無料です。1回目は1歳の誕生日を迎えたら早めに、期限内に忘れず接種を。

要確認2006年より前に育った世代の方

日本で「2回接種」が始まったのは2006年4月。それ以前は1回接種が普通でした。1回では免疫がつかなかった方や、年月とともに抗体が下がった方がいます。とくに1990年4月1日以前生まれの方は回数の確認を。

妊娠前にこれから妊娠を希望する女性とご家族

妊娠中はこのワクチンを打てません。妊娠前に2回済ませておくと安心です。パートナーなどご家族の接種確認も、おなかの赤ちゃんを守ることにつながります。

推奨医療・保育・教育のお仕事の方

多くの人と接するお仕事では、2回接種が強くすすめられています。職場で記録の提出を求められることもあります。

渡航前海外へ渡航する方

行き先を問わず、2回の記録がなければ渡航前の接種を検討しましょう。近年の国内発生は、海外からの持ち込みがきっかけになっています。

いちばん大事なところ

3ステップで「自分はどうすべきか」を確認

あなたに必要なのは? 3ステップ判定

母子手帳を手元に、上から順にたどってください。

1歳以降に、MR(麻疹を含む)ワクチンを2回接種した記録がありますか?

ある → 基本的に、追加の検査も接種も必要ありません。ここで終了です。
ない/わからない → ステップ2へ。

いま、妊娠中ですか?

いいえ → 多くの場合、抗体検査をせずに、不足分を接種するのが合理的です(理由は下で説明します)。
!はい → 妊娠中はワクチンを打てません。まず抗体検査で免疫を確認します。

麻疹の人と接触した直後ですか?

!対応は状況によって異なります。自己判断せず、できるだけ早く医療機関・保健所へご相談を。接触後およそ72時間以内のワクチン接種が、選択肢になることがあります。

適応 ②

抗体検査は必要? 多くの方は「検査せず接種」で大丈夫

意外に思われるかもしれませんが、2回の接種記録がない場合は、抗体検査を受けずにそのまま不足分を接種するほうが、費用の面でも合理的なことが多いのです。

なぜ? 抗体検査で「少しは抗体がある」と出ても、基準を満たさなければ、結局もう1回の接種をおすすめすることが多いからです。それなら、検査代をかけずに最初から接種したほうが、手間も費用も少なくて済みます。

「1歳以降に2回の記録がある人は、抗体検査は必須ではない」というのが、国の対応指針や専門学会に共通する基本的な考え方です。

適応 ③

では、検査を「先に」したほうがよい人は?

妊娠中の方

ワクチンを打てないので、まず抗体の有無を確認します。低ければ、流行時に人混みを避けるなどの対策と、出産後の接種につなげます。なお授乳中の接種は可能です。

無料・助成で検査を受けられる方

妊婦健診や、お住まいの自治体の助成制度で抗体検査が受けられる場合は、先に検査して、免疫があれば接種を省けます。風しんとセットで対象になることが多いので、自治体の案内をご確認ください。

もともと免疫がありそうな方

自然に麻疹にかかった世代など。検査で免疫が確認できれば、接種を省ける可能性があります。

72時間以内に!麻疹の人と接触したら

麻疹の患者さんと接触してしまったときは、自己判断せず、できるだけ早く医療機関や保健所にご相談ください。対応は、接触からの時間やご本人の状況によって変わります。一般には、接触からおよそ72時間以内のワクチン接種が、発症予防の選択肢になることがあります。

妊娠中の方や、治療で免疫が下がっている方など、ワクチンを打てない場合には、別の予防方法(免疫グロブリン)という選択肢もあります。こちらも早めの相談が大切です。


検査を受けた方へ

検査結果の数字の見方

抗体検査を受けた方のための参考表です。ただし、ここに示す数値は主に医療従事者向けの基準で、職種や施設によって求められる基準は異なります。一般の方は数値だけで「あと何回」と自己判断せず、目安としてご覧ください。そのうえで大切なのは、検査の方法によって基準の数字がまったく違うこと。必ず「どの方法で測ったか」とセットで、主治医とご確認ください。

※ 主に医療従事者向けの基準にもとづく目安です。職種・施設により基準は異なります。
EIA法(IgG) PA法 中和法 接種の目安
16.0 以上 1:256 以上 1:8 以上 今すぐは不要
2.0〜16.0未満 1:16〜128 1:4 あと1回
2.0 未満 1:16 未満 1:4 未満 あと2回

打ちすぎなくて大丈夫 この基準は、感染リスクの高い医療従事者向けにやや高めに設定されたものです。基準に届かなくても、不足分を2回まで接種すれば十分で、それ以上くり返し打ち続ける必要はありません。


よくある質問

気になる疑問にお答えします

Q2回打ったか覚えていません。どうすれば?
まずは母子健康手帳の確認が第一です。手元になく記録もたどれない場合は、検査よりも接種を選ぶことが多くなります。診察時にご相談ください。一緒に確認します。
Q大人になってからでも打てますか?
はい、打てます。年齢の上限はありません。2回の記録がない大人の方こそ、確認と接種をおすすめしたい対象です。
Q1回だけ打ったことがあります。あと何回?
もう1回(合計2回)が目安です。1回目との間隔など、詳しくは診察でご案内します。
Q接種のあとに気をつけることは?
MRワクチンは生ワクチンのため、接種後およそ2か月は妊娠を避けてください。接種前も約1か月の避妊が望ましいとされています。

ご相談ください

接種歴の確認・MRワクチン・抗体検査のご相談を承ります

「自分や子どもの記録がよくわからない」「妊娠を考えているので確認したい」——そんなときは、お気軽にご相談ください。母子手帳をお持ちいただくとスムーズです。

Web予約

本記事は一般の方向けの情報提供を目的としています。お一人おひとりの状況により最適な対応は異なります。最終的な判断は、診察のうえ医師にご相談ください。麻疹の流行状況や自治体の助成・緊急接種事業の内容は変わることがあります。

参考:厚生労働省「麻しんに関するQ&A」/国立健康危機管理研究機構(JIHS)/日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第5版」(2026年)ほか