咽頭結膜熱(プール熱)
別名: プール熱、アデノウイルス結膜炎、summer conjunctivitis、acute pharyngoconjunctival fever
この記事の監修医師
中永 思蘭
日本小児科学会小児科専門医
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによってのどの痛み・高熱・目の充血の3つがそろって起こる病気です。「プール熱」という通称で広く知られています。原因となるのは主にアデノウイルス3型で、そのほか2型・4型・7型・14型などでも起こります。
学校保健安全法で第2種の学校感染症に定められており、登園・登校には決められた基準があります。
アデノウイルス感染症全般(うつり方、消毒、検査、大人の場合など)については「アデノウイルス感染症」をご覧ください。
どんな症状が出ますか?
典型的には、次の3つがそろいます。
1. 高熱
39〜40℃の熱が出ます。解熱剤で一時的に下がっても、すぐにまた上がるのが特徴です。
2. のどの痛み
強い痛みを訴えます。扁桃が赤く腫れ、白い膿のようなものが付着することもあり、見た目だけでは溶連菌の扁桃炎と区別がつきません。飲み込むのがつらく、水分がとれなくなることが最も気をつけたい点です。
3. 結膜炎(目の充血)
片目から始まり、数日遅れてもう片方に及ぶことが多いパターンです。白目が充血し、目やに、涙、ゴロゴロした異物感が出ます。まぶたの裏側がブツブツした状態(濾胞)になります。
これに加えて、首のリンパ節(特に耳の前)が腫れて痛むことがよくあります。頭痛、腹痛、下痢を伴うこともあります。
3つが必ずそろうわけではありません。目の症状が軽く、後から気づかれることもよくあります。
熱は何日続きますか?
3〜5日、長いと1週間近く続きます。全体としては、多くの症状が1週間ほどで改善し、2週間以内に治まります。
目の充血や目やには、熱が下がった後も数日〜1週間ほど残ることがあります。これは治りが悪いのではなく、通常の経過です。
高熱が続くこと自体より、解熱している時間帯のお子さんの様子を見てください。水分がとれ、機嫌が戻るようなら経過を追って構いません。5日を超えて発熱が続く場合は、別の病気(川崎病や細菌の二次感染など)を考え直す必要があるため、再受診をおすすめします。
保育園・学校はいつから行けますか?
咽頭結膜熱は学校感染症 第2種に分類され、出席停止の基準が次のように定められています。
主要症状が消退した後、2日を経過するまで
ここでの「主要症状」とは、発熱・のどの痛み・目の充血の3つです。
数え方(間違いが多い部分です)
すべての症状が治まった日を 0日目 として数えます。
| 症状がすべて消えた日 | 0日目(この日はまだ登園できません) |
| 翌日 | 1日目 — 休み |
| その次の日 | 2日目 — 休み |
| その次の日 | 3日目から登園可 |
解熱した日から数えるのではありません。目の充血が残っていれば、そこが起点になります。インフルエンザの「発症後5日かつ解熱後2日」とは数え方が異なる点にもご注意ください。
なお、これは法令上の最短の基準です。全身状態が戻っていなければ、基準を満たしていても無理に登園させる必要はありません。
登園届や意見書の書式を園から渡されている場合は、受診時にお持ちください。
プールに入ったからかかるのですか?
「プール熱」という名前は、塩素消毒が不十分なプールで集団発生した事例に由来します。ただ、実際にはプールと無関係にうつるほうが圧倒的に多く、家庭内や保育園での接触・飛沫が主な感染経路です。
つまり——
- プールに入っていなくてもかかります
- 夏に多い傾向はありますが、一年中発生します
- 適切に塩素管理されたプールで感染することはまれです
「プールに行っていないからプール熱ではない」という判断はできません。
プールはいつから入れますか?
登園・登校の基準を満たし、目の症状が完全に治まってからが目安です。目やにが残っている間は、他のお子さんにうつす可能性が高いため控えてください。学校のプール授業については、学校の指示に従ってください。
目薬は必要ですか?眼科に行くべきですか?
咽頭結膜熱の結膜炎は、多くの場合自然によくなり、特別な目薬を必要としません。ウイルスに直接効く点眼薬はないためです。目やにが多いときは、清潔なガーゼやティッシュでこまめに拭き取ってください(拭いたものはすぐ捨て、家族で共用しない)。
ただし、次のような場合は眼科での診察が必要です。
- まぶしがる、目を開けていられない
- 見えにくいと訴える
- 強い目の痛みがある
- 目やにが極端に多い、まぶたが腫れて開かない
これらは、黒目(角膜)に炎症が及ぶ流行性角結膜炎(はやり目)の可能性を考えるサインです。
→ 「流行性角結膜炎(はやり目)」
なお、市販の目薬(特に充血をとるタイプ)は症状を悪化させることがあるため、自己判断での使用はおすすめしません。
プール熱とはやり目は何が違うのですか?
どちらもアデノウイルスによる病気ですが、原因となる型が異なり、症状の中心と扱いも変わります。
| 咽頭結膜熱(プール熱) | 流行性角結膜炎(はやり目) | |
|---|---|---|
| 主な型 | 3型など | 8・19・37型 |
| 症状の中心 | のど・熱・目の3つ | 目(のど・熱は乏しい) |
| 角膜への炎症 | まれ | 起こりうる |
| 学校感染症 | 第2種 | 第3種 |
| 出席停止 | 主要症状消退後2日 | 医師が感染のおそれなしと認めるまで |
| 主な担当 | 小児科・内科 | 眼科 |
家族にうつりますか?
うつります。潜伏期間はおよそ5〜7日(2〜14日の幅があります)。
感染対策で最も重要な点は、アデノウイルスにはアルコール消毒が十分に効かないことです。石けんと流水での手洗い、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤の希釈液)による物の消毒、そしてタオルを絶対に共用しないことが基本になります。
症状が治まった後も、便の中に数週間ウイルスが出続けます。おむつ交換やトイレ後の手洗いは、治ってからもしばらく丁寧に続けてください。
詳しい消毒の方法は「アデノウイルス感染症」で解説しています。
治療法はありますか?
アデノウイルスに効く抗ウイルス薬は、通常の外来診療にはありません。抗菌薬(抗生物質)も効きません。治療は、つらい症状をやわらげる対症療法が中心になります。
- 水分:のどが痛いと飲めなくなります。冷たいもの、ゼリー、経口補水液を少量ずつ頻回に。酸味の強いジュースはしみます
- 解熱剤:アセトアミノフェンを使います。18歳未満へのアスピリンは使用しません
- 食事:無理に食べさせなくて構いません。水分を優先してください
こんなときは受診してください
- 半日以上、水分がまったくとれない/おしっこが出ない・少ない
- 熱が下がっているときもぐったりしている
- 5日を超えて発熱が続く
- まぶしがる、目が開けられない、見えにくいと訴える
- 呼吸が速い、ゼーゼーしている
- けいれんを起こした
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よくある質問
Qプール熱は大人もかかりますか?
かかります。多くの大人は過去の感染で免疫を持ちますが、未経験の型に出会えば発症します。のどの痛みが強く、「これまでで一番つらいかぜ」と言われることも少なくありません。大人には法的な出勤停止の基準はありませんが、症状が治まってから2日程度を目安とするのが妥当です。
Qきょうだいがいます。どうすればいいですか?
タオルと洗面具を完全に分け、手洗いを徹底してください。お風呂は最後に入るかシャワーのみに。潜伏期間が5〜7日あるため、しばらく経ってから発症することがあります。
Q検査で「陰性」でしたが、プール熱ではないのですか?
迅速検査は陰性でもアデノウイルスを否定できません(陽性なら診断の確からしさは高まります)。症状の経過と診察所見を合わせて判断します。
Qプール熱に登園許可・登校許可は必要ですか?
必要となります。当院で診断もしくは治療した方の発行ができます(発行は無償です)。
この記事について
この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。 症状がある場合は、医療機関を受診してください。

